縄文人(じょうもんじん)は土偶(どぐう)のほかにも、ねん土でいろいろなものを作りました。これらを土製品(どせいひん)といいます。土製品(どせいひん)には、イノシシやクマなど動物をモデルにしたものが多く、縄文(じょうもん)時代後期から晩(ばん)期の遺跡(いせき)から多く出土しています。また、人の顔をお面のように表現したものを、土面(どめん)といいます。
北海道千歳(ちとせ)市にあるママチ遺跡(いせき)からは、写実的な土面(どめん)が出土しました。この土面(どめん)は両側にヒモを通すような穴(あな)があり、お墓の上から発見されたことから、お墓の上に立てた棒(ぼう)などに、印としてくくりつけていたのではないかと考えられています。
また、岩手県一戸(いちのへ)町にある蒔前遺跡(まくまえ いせき)からは、顔全体がゆがんでいる鼻曲がり土面(どめん)が出土しました。こちらの土面にも、顔の両側にヒモを通す穴(あな)が空いていますが、右側は貫通(かんつう)していません。マツリに使われていたものと考えられています。
縄文(じょうもん)時代の鼻曲がり土面は全国で5例しかなく、岩手県北部から青森県東南部にかけての地域(ちいき)でだけ見つかっています。