縄文(じょうもん)時代が始まる前の、旧石器時代は、とても寒い気候でした。氷河期といって、いちばん寒いときは、年間の平均気温が今より7〜8度も低かったとされています。氷が地球をおおい、海面の高さは、今より100メートル近く下にありました。
地球の気温がだんだん上がり始めたころ、縄文(じょうもん)時代が始まりました。特に、氷河期が終わった1万年前ごろからあたたかくなり、自然環境(かんきょう)が大きく変わりました。なかでも縄文(じょうもん)時代早期の終わりから前期のはじめごろ(紀元前約7,000〜4,000年)は、もっとも気温が高く、地球が温暖化(おんだんか)していた時期でした。
日本列島では、海面が上がって、陸の中まで海が入りこむ「縄文海進(じょうもんかいしん)」がおこります。温暖化(おんだんか)によって、食料となる動物や植物が豊富な森が作られ、近くなった海では、魚や貝が手に入りやすくなりました。
しかし、縄文(じょうもん)時代後期(紀元前約2,000〜1,000年)になると、ふたたび寒くなり始めます。寒冷化(かんれいか)した日本列島では、海面が下がり、海が遠くなりました。貝塚(かいづか)を作っていた大きなムラも、少なくなっていったと考えられています。森のようすも変わり、食べ物やくらし方も変わっていきました。
このように、数千年おきに寒冷化(かんれいか)から温暖化(おんだんか)、また寒冷化(かんれいか)へと環境(かんきょう)が変わっていくなかで、縄文(じょうもん)人は生きていました。縄文(じょうもん)時代は、自然環境(かんきょう)との深いつながりから生まれた、多様なすがたを持った時代だったのです。